不倫 損害賠償(慰謝料)
■不倫を原因とする慰謝料の請求
不倫された人は、不倫した配偶者とその相手に対して損害賠償を請求することができます。
(民法709条710条)第710条は財産以外の損害についても定めており、精神的損害を指します。精神的損害に対する賠償を慰謝料といいます。
ここでいう不倫とは性的交渉があった不貞行為を指します。
夫婦にはお互いに貞操義務があると解されていますから、一方の配偶者は、相手方の配偶者に対して貞操を要求する権利があることになります。したがって、配偶者と不倫した相手は、一方の配偶者の権利を侵害したことになりますので、不法行為による損害の賠償を求めることができます。
この場合、不倫によって離婚していても、あるいは不倫した夫(妻)者を許して婚姻関係を継続している場合であっても、不法行為責任を追及して損害賠償を請求することができます。
なお、内縁関係にある場合でも、一方が不倫した場合には同様に損害賠償を認めた判例が
あります。
不貞行為は回数に関係なく、1回でも性的交渉を持った場合でも該当しますが、損害賠償が認められる不貞行為は継続性が要件になることが殆どです。
1回でも不倫されたら許せないと思うひとも多いでしょう。しかし、安易に損害賠償を求めて提訴するといった手段に出ないほうが賢明です。
不倫している証拠が無い、あっても継続性を証明できる証拠としては不十分という場合には、実績のある探偵社に相談することを勧めます。
判例により不倫を原因とする損害賠償が認められなかったケースです。
○婚姻生活の破綻
不倫関係になった時点で、すでに婚姻生活が破たんしていたと認定されれば、不倫した夫(妻)および不倫相手は特段の事情がない限り、損害賠償の責を負いません。
○子どもによる不倫相手への損害賠償子どもが未成年の時に親が不倫相手と同棲したために、本来受けるべき愛情的利益や教育を受ける利益を不倫相手が侵害したという訴えをしたケースがあります。
父(母)親による監護や愛情は、不倫していてもその気持ちがあれば出来ることであり、子どもが受けた不利益と不倫相手との間には因果関係がないとして認められませんでした。
○結婚していることを知らなかった不倫相手民法第709条は、故意または過失があることを不法行為責任の成立要件にしています。
したがって、不倫相手が騙されて肉体関係を持ったり、既婚者であることを知らなかったことが合理的な状況である場合等は不倫相手は損害賠償の責を負いません。
一方、不倫した夫または妻には、不法行為責任があるので、損害賠償の対象になります。
○不倫した夫(妻)に対して慰謝料を請求する場合は、併せて離婚を求める場合が殆どですので、家庭裁判所における離婚調停に付帯して行います。
先ず調停による解決を試みます。
調停不成立の場合、裁判による解決をはかります。
尚、数は少ないですが、調停が不成立に至る前に調停に代えて審判に移行し、職権により離婚、その他必要な審判が下されることもあります。
詳しくは当サイトの 不倫 調停離婚のページへ
○不倫した夫(妻)の不倫相手に対して慰謝料を請求する場合は、家庭裁判所ではなく相手の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てることになります。
もちろん、裁判にするかどうかを判断する前に調停を申し立てることもできます。
調停も家庭裁判所でなく、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てることになります。
調停は双方の言い分の合意点を目指すもので強制力はありませんが、不倫相手にプレッシャーを与えることになるでしょう。
合意点が見つかれば、調停調書が作成され、裁判の判決と同じ効力を持ちます。
合意することができなければ、調停不成立として終了します。職権による審判はありません。
■結婚を前提に不倫関係に入ったあなたからの損害賠償
結婚が実現できない場合に、不倫相手から慰謝料を取れる可能性があります。
あなたの不法行為の程度が軽い場合で不倫相手の違法性が強い場合の可能性が考えられます。
例えば、不倫相手の結婚生活が破たんしていて離婚協議中であるといった虚言を信じているような場合、かつ、不倫相手が離婚する意思もあなたと結婚する意思も当初からなく、騙して肉体関係を結ぶに至った場合に慰謝料を取れる可能性は高くなります。
■内縁の妻を持つカレと不倫したあなたへの損害賠償
法律上の夫婦でないから大丈夫と考えていませんか?
内縁の妻から損害賠償を請求される恐れがあります。
内縁関係にある夫婦であっても、お互いに貞操義務があると解されていて、内縁の妻の権利を侵害したことになります。
内縁とは、結婚の意思を持って共同生活を営んでいるカップルのことです。
婚姻届を出せば受理される状況にあるが、婚姻届を出していないだけということになります。
ちなみに、結婚の意思がなくて共同生活をするカップルは同棲といわれます。